INTERVIEW企業紹介

本当に美味しいお肉を追求し、
生産からお客さまの口の届くまでを見届ける。

株式会社カネダイ大橋牧場
大橋 遼太
Ryota Ohashi(27歳)
2017年入社

株式会社カネダイ大橋牧場
大橋 遼太
Ryota Ohashi(27歳)
2017年入社

大空町出身。酪農学園大学畜産学科を卒業後、茨城の食肉専門学校で牛の脱骨など、精肉店の仕事の基礎を学ぶ。京都中勢以での2年の修行期間を経て、25歳で実家である株式会社カネダイ大橋牧場へ入社。「お客さまの口に届くまで」をモットーに、黒毛和牛『知床牛』の生産に情熱を注ぐ。

芸能人などの著名人にも多くのファンを持ち、東京の専門店に足繁く通わせる魅力を持つ北海道ブランド牛『知床牛』。名だたるホテルやレストラン、百貨店からも引く手数多なこの牛は、大空町東藻琴の大橋牧場で育てられています。こだわりの北海道産飼料と地元の上質な湧き水『銀嶺水』、世界に一つの知床牛の為の配合飼料を与えながら、一頭一頭性格や成長の違う牛たちに心を配り、育む大橋牧場。「究極に美味しい肉」を求め続け、挑戦を続ける大橋遼太さんにお話を伺いました。

先代の会長である祖父の死から生まれた、家業を継ぐという決心

「我々は命をいただいてそれを商売としている」家業だということを自覚したのは、小学校の低学年の頃。僕が世話を担当していたポニーがある日急にいなくなっていたのです。それで、社長に「ポニーどこいったの?」と確認したら、「この前食べたべや」と言われまして(笑)。その時に、「あ、うちはそういう仕事をしているんだ」と理解しました。
薄々頭の片隅には家業のことがあったので、なんとなく酪農学園大学の畜産学科に入学しましたが、実家を継ぐかどうかは決めていませんでした。家業を継ぐことを明確に決心したきっかけは、大学のミートジャッジング大会の全国大会に参加したときのことです。その懇談会の最中に先代の会長、僕の祖父が倒れたから今すぐ帰ってこいと父から急に連絡があったのです。その時に祖父が亡くなり、家業を継ぐという意識を持つようになりました。その数分前に、うちにこないかとお声をかけていただいたのが、僕が修行に行った京都中勢以の社長でした。「精肉店という肉を売る立場から、生産者をより深く知ることができ、視野も広がる」という話をされていて、これは祖父がつくってくれた縁なのではないかと思い、京都中勢以に修行に行くことに決めました。

京都中勢以での修行が、現在の知床牛の育成マインドの基盤となった

京都中勢以では、僕の師匠にあたる加藤謙一さんに多くを学びました。加藤謙一さんはコロラド州立大学でミートサイエンスの修士課程を修了されて、現在の熟成肉のブームを作った人でもあります。
中勢以の考え方や修行は、大橋牧場での仕事にかなり活きています。中勢以では基本純血但馬牛しか買いません。純血但馬牛というのは、あるランクを越えると神戸牛になるものです。しかし、中勢以は『神戸牛』とはうたわず、生産者の方の名前ごとにお肉を売っています。なぜかというと、与えている餌も水も環境も違いますから、育てる生産者によって肉の味が濃い、さっぱりしている、脂が美味いなど味が違うからなんです。『神戸牛』一つとっても、しっかり生産者がこだわった結果、それだけ味の差があるのだなということを知りました。
『知床牛』を育てているのは大橋牧場だけですので、中勢以での経験からよりこだわって味を重視し追求していこうと現在取り組んでいます。

これまでの大橋牧場史上、一番アグレッシブなチームに

大橋牧場の社員は現在16名。僕が帰ってきてから、若い子たちがどんどん新卒で入ってきてくれていて、アグレッシブに働いてくれています。今までにない大橋牧場ですね。とても良いチームが出来つつあります。うちには知床牛の肥育が約1000頭、繁殖牛として340頭の和牛がいて、それ以外に初妊牛作りの為のホルスタインが数百頭いるのですが、繁殖係として現在22歳と27歳の女性2名がバリバリ活躍していて、全ての受精業務をその子たちが担当しています。肥育の方ではベテラン場長の指導のもと、高卒の19歳が猛勉強中です。

有休消化を徹底、仕事も相互にバックアップが取れるように

社員の働きやすさのために、現在は有休消化をかなり進めています。というのも、我々の業界は休みがとても少ないのです。そのため、年度替りには休日を月5日にしたり、どんどん有休消化をしてもらって地元に帰ったり、どこかで遊んで来なさいと伝えています。それができるよう、皆それぞれ率先して全部の部門を勉強して、お互いに仕事のバックアップができる環境もつくっています。僕も趣味は牛を知ることと肉を知ることなので、休日や出張を兼ねて出かけるときには食べに行ったりしています。とはいえ、結局自分のところのお肉が一番美味しいなと思いますね(笑)。

本当の意味で、ごまかしのない安心安全な美味しさを追求し続ける

終わりはないのですが、僕が一番力を入れているのは美味しいお肉をつくるということです。そのために、研究所でさまざまな肉を集めて旨味成分の分析もやっています。科学的な観点からも分析するのですが、単純に数字だけだと輸入のお肉で高い数字を出してしまうこともあり、難しいのです。味を決める要素というのは、数字だけではないんですよね。脂肪交雑の入り具合や脂の色だったり、牛のトータルバランスなのです。A3からA5が知床牛という決まりになってはいますが、それはただサシの入り方だけの話。僕が伝えていきたいのは、本当の美味しいお肉です。また、抗生物質などは人間と同様、風邪などの病気にかかったときに必要最低限だけ使っています。牛一頭一頭と目を合わせ、状態を感じとり、大橋牧場従業員の愛情とこだわりの水、餌、草、により脂が本当にさらっと溶けるような融点になり、お肉の香り味が決まります。

「美味しい」のひと言を聞くまで見届けること、それが大橋牧場のこだわり

母が居酒屋をやっているのですが、毎月29日だけ『肉の日』という形で僕が腕をふるって焼肉屋をしているんですよ。その時に、「美味しかったよ」と言っていただけることが、我々生産者には一番のやりがいを感じる言葉ではないでしょうか。生産者は、なかなかお客さまに食べていただくところまで見届けることはできないものです。お口に届けくまで全て見届けられる。そこで「美味しい」という言葉を聞ける。生産から最後まで見届けることがやりがいであり、僕がこれまで経験したことも発揮できる一番の本当のこだわりでもあります。

人間の赤ちゃんと同じレベルで観察を続け、牛の状態に気を配る

牛も人間の赤ちゃんと同じなんですよ。ちょっとした下痢でも脱水症状で死んでしまったり、その環境をいかにつくっていくかで、昨日まで生きていた牛が死んでしまったりするのです。本当に我が子のように気を使って観察をしています。牛は、「モウ」しか言えないですから(笑)。牛の目を見ると、調子が悪い時もわかるものなのです。痛いとも痒いとも言えないので、それをいかに感じてあげられるか。この管理が一番難しいところであり、重要な部分でもあります。

『メイドイン北海道』を掲げ、美味しさのためにこだわりを貫く

大橋牧場では、牛が口にする草の粗飼料は輸入品を一切使わず、すべて北海道産のみを使用しています。安心安全ですよ、と言葉で言うのは簡単です。しかし蓋を開けてみると、中国などの海外から稲わらを買っていたりすることはよくあることなんですよ。それはこだわりじゃないよね、と。消毒薬がたくさんかかったもの食べたくないですよね。牛もそうです。だから、そういった現実的なところも見ながら、大橋牧場ではこだわりを追求し続けています。今でも美味しいですが、さらにもっと美味しくなるためには、どうしたらいいのか。それを常に考え続け、牛の状態を見ながら春夏秋冬に合わせて牛の餌やりや世話をしていく。一つひとつのことをどう改善して行くかをこだわり抜いていることが、大橋牧場の強みです。

牛にとっても、人にとっても住みやすく環境の良い大空町

大空町は、牛にとっても我々人間にとっても良い環境の街です。とても空気がきれいですし、牛には以前名水100選にも選ばれていた、とてもナトリウムが多く非常に上質な『銀嶺水』という水を与えています。湧き水って聞こえはいいけれども、その水に何が入っているの? というと、検査してみれば鉄分が多かったり、いつ何が混ざるかはわからないですよね。うちは安心安全な、我々大空町東藻琴の住民が飲んでいるものと同様のものを牛に与えています。牛にとってはかなり環境がいいと思います。
働く人にとっては、人それぞれだとは思うのですが、僕としては住みやすいですね。空港もすぐ近いですし、飛行機があることで交通の便がいいですよね。車はなくてはならないですけれども、買い物だったら20〜30分でなんでもありますから。

購入者に本当に欲しいお肉だけを届けられるような店を持ちたい

僕自身のこれからの目標は、社長を超えることですね。やっぱり、社長ってすごいなと思わせられることが多くて、もう雲の上、とは言い過ぎるかもしれないですけど(笑)、それに近い存在です。
会社としては、できれば年内に本当に欲しいお肉だけを購入できるような小さな精肉店を作って、自ら売って行くということを始めたいと思っています。
これは、京都中勢以で学んだことでもあるのです。精肉店でショーケースを見ると、結局目的よりも値段でなんとなく安いお肉を購入してしまったりしますよね。だから、中勢以はショーケースのないお店なのです。ご予算やどんなお肉が好きなのか、何名で食べるのかや、今日はハレの日なのかなどを直接ヒアリングして、牛一頭から「こういうお肉があります」と提案する。そんなお肉屋さんや飲食店をやっていけたらいいなと思うのです。

求めるのは、失敗も必要なこととポジティブに変換できる運を持った人

Webサイトにも記載しているのですが、運を持っている方に来てほしいですね。人生はポジティブにやっていかないと、どんなこともつまらないですよね。経験して失敗を繰り返して人間は成長して行くのだと思うのですが、そこでしっかり自分を持っている人たちはそれを「経験できてよかったよ」とか「失敗できてよかったじゃん」という気持ちに切り替えていけるじゃないですか。そういう人は、自分で運を呼び寄せて変えていける力を持っている人たちなのです。失敗をプラスに考えられるような人たちと一緒に働けたらと思います。牛を世話する現場従業員!そして牧場の実は軸となる事務員さん!一緒に美味しい知床牛を作りましょう!

Company Profile株式会社 カネダイ大橋牧場

昭和28年創業。大空町東藻琴でブランド牛『知床牛』や、乳牛の生産を行う牧場。主食となる草は全て北海道産のみを使用。『メイドイン北海道』を掲げ、肉質・味ともに高い評価を得ている。

会社名:株式会社 カネダイ大橋牧場
設立:昭和53年12月
代表者:代表取締役 大橋 博美
従業員数:16名
資本金:4,000万円
事業内容:
■乳牛及び肉牛の生産・育成・繁殖
■乳牛・肉素牛・肉牛の購販売
■精肉・枝肉・畜品の購販売
■全各号に付帯する一切の業務
本社所在地:〒099-3244 北海道網走郡大空町東藻琴344-16
TEL:0152-66-2661
Webサイト:https://shiretokogyu.com/

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